医療の現場で何より優先させるのは、患者の治療とその安全を守ることである。そのため、医療機関側は、しばしば、患者が快適に過ごせる環境づくりを軽視する傾向にある。しかし、この快適さは、患者側にとっては重要かつ欠かせないニーズと言える。
そして、双方の認識格差は、点滴治療時に起こる血管外漏出事故に顕著なかたちとなって表れている。点滴時に針が血管から外れて薬剤が漏れると、投与している薬剤によっては深刻な皮膚障害を引き起こすほか、ときとして、死亡事故にまで発展することもある。こうした事故が発生する原因には、点滴部位の上から布団を掛けてしまったことによって引き起こされたものも多い。すなわち、ここに、前述の認識格差が関係しているのである。 |