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はじめに 相次ぐ点滴事故 薬剤について 血管外漏出事故


●抗がん剤の血管外漏出事故〜その実態と対策〜



点滴時の事故は、しばしば悲惨な結果を招くことがある。中心静脈栄養(IVH)中の事故は死に直結することもあるため、細心の注意が払われてしかるべきだが、末梢点滴時の事故は、現場において軽視されがちであるというのが実情。しかし、とくに抗がん剤に多い起壊死性薬剤が過って血管外に漏出してしまうと、悲惨な皮膚障害を引き起こすことがある。薬剤が皮膚の下に入ると、周辺の組織が腐ってしまい、その部分の皮膚がなくなって潰瘍へと悪化。重症の場合には植皮術という外科手術の対象にまでなってしまう深刻な事故なのである。
末梢点滴時の血管外漏出事故を防ぐためには、治療する側が投与する抗がん剤の種類を十分に把握することも重要だが、他方、点滴時の患者のあり方にも目を向ける必要がある。患者は、点滴時に腕部や頚部、肩部を露出しなければならない。長時間に及ぶ点滴治療の場合、冷えることによって不快感を覚える患者も多い。一方で、医療機関側にとっては、患者側の不快感を解消することよりも点滴部位を直視下に置くことの方が優先される。こうした双方の意識格差から血管外漏出事故が起こることもある。患者側が勝手に点滴部位の上から布団を掛けてしまい、点滴針が外れて漏出を招くという事例がそれに当たる。
血管外漏出事故の防止には、いくつかの対策が必要とされているが、その中でも、患者側の不快感を解消しつつ、点滴部位も直視下に置くことを可能にする医療用具の開発は、目下の急務と言っても過言ではないのである。

 
●抗がん剤の血管外漏出による皮膚障害について
●水疱形成(54歳女性/再発乳がん患者)



シクロホスファミド300mg/u、ドキソルビシン20mg/uを点滴投与中に血管外に漏出。皮膚障害を引き起こした。血管外に漏出して24時間が経過した段階で患部には軽度の発赤が見られ、明らかに膨れ上がった水疱を形成。疼痛も伴った状態に陥っている



●潜在性潰瘍形成(70歳男性/悪性リンパ腫患者)



VEPA(点滴静注:ビンクリスチン1mg/u、シクロフォスファミド300mg/u、ドキソルビシン20mg/u 経口投与:プレドニゾロン30mg/u)にて点滴。もあり発見が遅れたが、終了時に皮膚障害の症状は見られなかったが、微量の漏出があった。投与後、約1週間後に発生した紅斑が、さらに1週間後、浅い潰瘍が発生した



●潰瘍形成(39歳女性/卵巣がん患者)



マイトマイシンC10mg/u、ドキソルビシン20mg/uを点滴静注。投与後、若干の漏出を確認したが軽度の浮腫であったため放置。しかし、翌日になり疼痛、発赤、腫脹が見られ、漸次、増悪、不眠に陥ったため皮膚科に受診。やがて中心部壊死となり、1ヶ月後に潰瘍形成。2ヵ月後になり潰瘍周辺が硬化。腕の伸縮が制限されるまでになり、疼痛も伴っていたため、形成外科的治療の対象となった